ラフ・シモンズはNYファッションウィークを変えることができるか?

2016年8月、Diorを去ったRaf SimonsがNYのアイコニックなブランド、Calvin Kleinにチーフクリエイティブオフィサーとして正式に移籍したというニュースを読んでから、その日を待ち望んでいた。

 

Raf Simonsによるファーストコレクションが遂に2017年2月10日、デビューを果たした。

 

今年1月末には、Calvin Klein by Appointmentのローンチ、そしてファッションショー直前には新広告ビジュアルが発表され、ミニマルで洗練されたフォトがNYいや世界中をジャックした。アメリカのブランドのはずなのに、ヨーロッパの香りのする、オーダーメイドで注文できる新ラインをスタートさせた。WWDによると、生産はNYで、個別のアポイントメントは4月から受け付けるという。

Calvin Kleinの新広告。アメリカン・クラシックを表現している

Calvin Kleinの新広告。アメリカン・クラシックを表現している

アンダーウェアの広告もお披露目になり、今までにない新鮮なイメージを打ち出した。

Calvin Kleinといえば、これでもかというくらい筋肉ムキムキのセクシーな男性が下着1枚というスタイルが続いていたが、Rafのディレクション下では、Andy Warholのアートの前に、細くアンニュイな男の子がポツンと写っていて、セックスとは全くかけ離れたイメージとなっている。

以前話題になったJustin Bieberの広告

以前話題になったJustin Bieberの広告

今回の新広告

今回の新広告

たまたまタイムズスクエアに行ったら、Calvin Kleinがジャックしていたので、パチリ。

 

Calvin Kleinはデジタル、トラディショナル広告、イベントを本当にうまく駆使している印象で見ているだけで勉強になる。特にデジタルアクティビティはミレニアルが自ら発信したくなるような仕掛けをつくるのが非常にうまい。

Calvin Kleinは下着屋さんじゃないの?と思う人にはいい機会だし、ここでブランドについてざっくりと振り返ってみよう。

 

ニューヨーク市生まれのCalvin Kleinが、マンハッタンにあるFITでファッションを学んで卒業した後、1968年に始めたブランド。NYの洗練と冷静な情熱を体現したようなデザインは、発表直後にあっという間に世界を席巻。翌年にはVogueに登場しているし、スタートから5年以内でスポーツウェアと香水のラインをローンチ。香水ラインの伝説は説明不要だろう。70年代後半までにはアンダーウェアのラインを発表している。Herb Rittsの撮ったMark Wahlbergの広告はあまりに有名だよね。2003年にKlein本人がデザイナーを引退した後でも、アメリカとNYを代表するブランドであり続けている。

 

NYといえばCalvin Kleinなわけだが、ここでRaf Simonsを知らなかった人たちに、彼について少し紹介しよう。

 

Rafは、Calvin Kleinが誕生した1968年にベルギーで生まれたデザイナー。だが、ファッションを学んだことは一度もない。服のデザインは独学。彼がアントワープで学んだのはインダストリアルデザインだ。95年にメンズウェアのデザイナーとしてデビューし、Jil SanderやDiorで活躍した。彼はアートに造詣が深いことで有名で、それは彼のするデザインに反映されているからよく分かる。

 

Calvinといえばミニマル。Rafといえばミニマル。

ブランドアイデンティティとRafのビジョンがぴったりだから納得。

 

ショーはどんなかというと、セックスアピールを武器にしていた、これまでのブランドイメージと変わって、ジェンダーレスでユニセックスな着こなし、エフォートレスなアティテュード、そしてひたすら引き算されたデザイン。

若さやポジティブさを表現しながら、ミニマルでクラシックな上品さもあって、ブランドのコアを余すところなくアピールしている。服がブランドを語るという真髄を思い出させてくれた。

 

NYFWといえば、ヨーロッパと比べてコマーシャルすぎて学園祭の延長線みたいなショーやプレゼンテーションばかりに、Rafは全く違う空気を落とし込んだ。

メディアの至るところで、RafはNYに影響を与えるか?という記事が目立つが、間違いなく答えはYES。彼は、多大な影響をNYファッションシーンに与えた。

小さく、限られたショーのスペース。ファッションを本当に理解した、選ばれた人たちのみがショーを見ることができた。

モデルをみると、トレンディでいわゆるSNSセレブリティモデルが一切いなく、正統派で硬派なキャスティングをしたのが分かる。

まるで、Rafはどの人種のモデルに対しても平等にチャンスを与えたかのようだ。

このご時世にトレンディモデル、ブロガー、セレブリティに頼らずにここまでバズを起こしたCalvin Kleinには「私たちは自分たちのクリエーションのみで勝負をするんだ」という自信が感じられた。

 

ショーを閉じたRafと、彼の右腕で、いなくてはいけない存在のPieter Mulierが登場したときは感動してしまった。「Dior and I」を見た人は彼のことを知っているだろう。どんな気持ちであのショーをクリエイトしたのか、感慨深くて、その瞬間を目撃することができてよかった。

あまりにもCalvin Kleinは長年セクシーでうっていたため、既存顧客がどう反応するかに注目だが、それよりもいままでCalvin Kleinに目を向けていなかった新しい顧客を圧倒的に、あっという間に獲得できると思うので、心配する必要はなさそう。

正統派かつ硬派なクリエイティブオフィサーの  Rafが創る新生Calvin Kleinから、目が離せない。

Pieter MulierとRaf Simons

Pieter MulierとRaf Simons

 

ライター:稲木ジョージ

エディター:八木橋恵

コーディネーター:恩地祥博

公式ウェブサイト:www.georgerootltd.com

social media:@georgeinaki

セレブとの境界線とは?

ただいま、LAにいます。

毎年12月~1月末までの冬はLAで過ごしており、同じ国、アメリカでもLAとNY、そしてそれ以外の土地での違いにいつも驚かされています。LAとNYは、もはやアメリカじゃない。LAはLA、NYはNY。独立している感じ。

では、その2つの都市の違いをファッションやスタイルでざっくりと比べることにしよう。

LAはLAでも、シルバーレイクやダウンタウンに行くとまた違って、あくまでも、僕の自宅があるウエストハリウッドのことを指してます。ハリウッドでは、コントアーメイクが主流で、「ボンキュッボン」のスタイルが不動の人気。

プッシュアップブラや豊胸が当たり前かのように、胸が大きく、お尻はでかければでかいほど美しいとされている。

唇は「Filler」というプチ整形で、ふっくらとした大きな唇を好む傾向がある。

ジムでワークアウトするときも、ばっちりフルメイクで来る子は珍しくない。

おそらく、Kim KardashianやKylie Jennerの影響が本当に大きく、このような流れになっている。

Kim Kardashian

Kim Kardashian

Kylie Jenner

Kylie Jenner

NYの場合だと、アップタウンとダウンタウンでまた大きく異なるが、自宅周辺のソーホー辺りは薄い化粧、目立たず、シックでモノトーンのスタイル。

ナチュラルを好む傾向があり、洗練された都会的なスタイルかな。

 

LAといえば、みんなが先に思い浮かべるのはおそらく“セレブ”でしょう。

僕の学生時代には、Paris Hilton、Nicole Richieが絶頂期で、2人が出ていたリアリティショー、「シンプルライフ」が面白すぎて、毎エピソードを欠かさず見ていた。「That’s hot」や、「Geeezzz」のようなスラングが流行っていて、ある意味カルチャーを作ったのは間違いない。2017年の今、2000年前半のカルチャーがまたカムバックしているのを感じている。

当時はとにかく、世界中がLA の“セレブスタイル”に釘付けだった。覚えている?Juicy Couture、Von Dutch、Ed Hardy、True Religionが流行った流行った。高校生の時に登校バッグはVon Dutchのボーリングバッグ。それで通学してたのを覚えている。w

Von Dutchのボーリングバッグに学ランという通学スタイルw

Von Dutchのボーリングバッグに学ランという通学スタイルw

何でもラインストーンをつけてたよね。w スタバコップ、携帯、とにかくスワロフスキー!

 

2017年の今はどうなっているかというと、LAはいまだにセレブ文化が続いている。むしろ、みんながみんなセレブリティなのではないかと思うほど。

あまりにも多すぎるため、一体セレブリティはなんなのかと考えた。

なっがい前置きとなったが、今回はセレブと一般人の境界線について書こうと思う。

 

 

LAはハリウッド映画、テレビ業界のメッカなのはみんな知っているだろう。

お茶の間で放送されているテレビ番組に出たらセレブリティ。ちょっとした映画に出たらセレブリティ。またまたインスタでフォロワーがたくさんいたらセレブリティ。LAでは勢いの止まらないユーチューバーで、億単位を稼ぐタレントもゴロゴロいる。今の時代は一個人が媒体になりつつあるからね。

セレブリティが多すぎて、名前が覚えられない。みんながみんな有名になりたくて、世界中からLAに集まるのだ。

セレブを専門に扱うPR会社もあるくらいだから、ビジネスとしてしっかり確立されているのがわかる。

 

一方、日本ではいわゆる“芸能人”がセレブリティといわれているわけだが、PRという職に就いていて、“芸能人”の境目がなんなのか、変わりつつあると感じているんだ。

ファッションブランドのパーティやショーがあるときは、「セレブリティ衣装着せ込み」をすることが多いが、芸能事務所に所属していないというだけで“セレブリティ”扱いではなく、私服で来てくださいというケースも少なくないだろう。かといって、所属しているだけで、影響力もなく無名でも着せ込みできるということでよいのだろうか。

芸能事務所に所属すれば芸能人なのか?ソーシャルメディアではフォロワーが多く影響力はあるが、どの事務所に所属してなかったら、ただの“一般人”なのか?

ひと昔前には、モデルと読者モデルにも“暗黙の了解”としての明らかな線引きがあったが、今は曖昧になりつつある。これに近いものなのか?

  

ファッションは常に、最先端でフレッシュでなければいけないから、いつまでたっても、古風なやり方のままでよいのか?

さっきも言ったように、誰もが「媒体」になれる時代だし、こうしてデジタルの発展や社会が変わっていくにつれて、「本物」や「本当のプロ」と実はそうではない人(一般人)との判別がすごく難しい世の中になっていることを感じる。少なくとも、本物のセレブは、自己申告制のものではないと思う。本物のセレブが、自分をセレブです、と紹介するのは聞いたことがない。絶妙なさじ加減を判断できるようにしなければ!

 

 

ライター:稲木ジョージ

エディター:八木橋恵

コーディネーター:恩地祥博

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年齢とキャリアは反比例する?

2017年秋で30歳になる自分。

人生1回しかないし、この節目にどうやってこれまでにない成果を残すか、常に考えている。

60歳になって振り返ったときに、30歳にこういうことをしたな、楽しかったなと思えるような思い出を作りたい。

 

今は日本撤退してしまった、American Apparel JapanのPRマネージャーというポジションに就いたのは2011年で、その頃は24歳になったばかり。

これは大学卒業後、上京したての22歳のときに、アルバイトとしてアメアパに入った頃の写真。開脚度やばめ

これは大学卒業後、上京したての22歳のときに、アルバイトとしてアメアパに入った頃の写真。開脚度やばめ

PRマネージャーになるには、早くても30半ばか40代の前半。

あの歳で就くことができたのは、いろんな理由が重なって、奇跡に近かった。

正直不安ばかりで、自分の土俵にいる人たちは自分よりもずっと年上で、もっと経験があって、肩を並べるために背伸びばかりしていた。

「ちゃんとしなきゃ、しっかりしなきゃ」という一心で、強がったりしたせいか、人当たりがきつかったかもしれない。

人よりも童顔で、子どもっぽく見られることについても気にしていて、今は克服したが、当時はものすごくコンプレックスだった。

8年来の友人、伊藤梨惠子。彼女がアルバイトを誘ってくれたきっかけでアメアパに入った。2011年ハロウィンでの写真

8年来の友人、伊藤梨惠子。彼女がアルバイトを誘ってくれたきっかけでアメアパに入った。2011年ハロウィンでの写真

これは2011年にTGCにアメアパが出場したときのステージ写真。30人以上のダンサーを起用してフラッシュモブダンスのパフォーマンス

これは2011年にTGCにアメアパが出場したときのステージ写真。30人以上のダンサーを起用してフラッシュモブダンスのパフォーマンス

だが、アメリカやヨーロッパだと、キャリアにおける年齢は関係ないようだ。

20代でも、シニアポジションもいるし、マネージャーレベルの人も結構みる。

そもそも、面接で年齢なんて聞かれないし、履歴書には書かなくていい。年齢で実力が分かるわけではないからだ。それよりも、職歴。キャリアを通じて、どんなことをこなしてきたかで能力を判断される。

日本だと年功序列制度がいまだに残っているわけだけど、海外だと年齢に関係なく、(たとえとっても若くても)フレッシュなアイデアをもち、アグレシッブに仕事ができる人が重宝される印象。

ラグジュアリーブランドでも、コンテンポラリーブランドでもね。

 

特にデジタル系の職業は、逆に若くないと務まらないと思うんだ。

デジタルネイティブで育った世代は、一から勉強するよりも肌感覚で分かる。何をやったらウケるのか、何がイケてるのか、さじ加減を理解しているからね。あとは戦略とコツを掴めば、一人前になれるはず。

 

おそらく、若すぎると、自分だけが分かっている感覚だけで動いてしまい、経験不足だけに理論に基づいた行動ができず、ディレクションができないという理由で昇進またはビジネス開拓がしにくいのかもしれない。

若い世代で、自己判断が正確で、かつ常識があって、プロフェッショナルに仕事ができる人材が求められているはず。問題が発生した場合に、どのように対応するのかで器の大きさも求められる。特にポジションが上になればなるほど必要。が、現実は理想通りにいかない。

どこまでプライベートで、どこからプロフェッションなのか線引きできない人が意外に多いから、仲のよい友達と仕事することになれば、これは関係が崩れる理由にもなり得るため、友達と仕事するときはより細心の注意を払わなければいけない。

 

ちょうど、 日本ファッションPR界の神、ステディ スタディの吉田瑞代さんとFashionsnap.comに対談インタビューが掲載されたからよかったら読んでみて。

彼女が築き上げてきたキャリアとノウハウ、新世代の僕とのキャッチボールが新鮮でいいかも。普段仲良くさせていただいてて、プライベートではよくそういった会話をするのだが、実際記事になると照れ臭いものだ。

瑞代さんの大御所なのにお茶目な性格と、僕のお調子者な性格が、いい感じに面白く書かれた内容だと思っている。それでいて、トラディショナルPRとデジタルPRは別部門だというのが伝わるといいな。

ショップ店員でキャリアをスタートし、アメアパのPRになって、現在デジタルPRという職業に就いた流れが書かれているよ。

Fashionsnap.com、この記事の聞き手の高村さんは僕がアメアパでPRしてたときからのお付き合いだから、彼女に記事を書いてもらえたことは嬉しいし、僕の過程を見てきているからリアルな内容になっている。

 

トラディショナルとデジタルの違いがあっても、共通しているのはファッションPRという点。ファッションは常に新しくて先進的なアイデアが必要だから、PRに柔軟性のある若者のブレインは必要不可欠だと思っている。

大学は卒業したけど、今の職業とは全く無関係で仕事が成り立っているから、学歴や年齢よりも、その人とのフィーリングと、そして可能性を僕は重要視する。

いくら“良い学校”を出ても、年齢を重ねても、意識が低い人は低いからね。ひとくくりには言えないよ。

 

つまり、キャリアの中で、何年も経験しないと一人前になれないとか、ならせないというよりも、いかに短い時間で効率よく、高いクオリティで成長できるかについて目を向けるべき。「何年」という期間を設けると、だらだらしてしまうかもしれないからね。僕は短期集中型だから、一気にパワーを発信したいタイプだし、デジタルのツールなんて、数年であっという間に変わってしまう。

アイデア勝負の僕の場合は、定期的に脳ミソの充電をしないとアイデアが枯れちゃうから、時間を有効に使い、オンとオフを分けている。

友達のSNSはチェックするけど、いわゆるリサーチのためにオンラインにし放しにしないように心がけてる。

 

年齢とキャリアは反比例するし、一概にいえない。

若きパイオニアが、たくさん世に出てほしい。

自分の得意分野を、伸ばせばいいこと。

日本では、オールジャンル・オールマイティがデキる人みたいに思われがちだけど、アメリカでは1つのことに徹底的に長けている人がプロと呼ばれる。

自分の苦手なことは、それを得意な人に任せて、最強のチームで構成された組織を作りたいね。

 

ライター:稲木ジョージ

エディター:八木橋恵

コーディネーター:恩地祥博

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誰もが“フォトグラファー”の時代は正解か?

A Happy New Year!!

あけまして、おめでとうございます。

新年1発目は、フォトグラフィーについて書こうと思う!

 

パートナーの影響でフォトグラフィーに興味を持ち始めたのは、4年ぐらい前かな?

インスタントカメラやプリクラで育った僕は、フィルムカメラやファインアートのフォトグラフィーとは全く無縁だった。

 

今では自宅に、アートのコレクションとして無数のフォトグラフィーがある。

自宅にて

自宅にて

伝説のフォトグラファー、Irving Pennに師事し、コマーシャルもポートレートも素晴らしく撮るMichael Thompson。男性の魅力をあますところなく写し、この世で最も美しい白黒写真を撮るDavid Armstrong。スティルだけでなく、フィルムなどでも撮るアーティストで、作品が訴えかけてくるようなメッセージ性の強い写真を撮るGordon Parks。あとはフランス人らしい皮肉やチャームを、特に女性美を切り取ることで伝えるBettina Rheimsなど。

数多くいるフォトグラファーの中でも、彼ら4人の作品がお気に入り。

 

何が好きかって、写真を見たときに考えさせられるようなところ。その瞬間を捉えた最高の一瞬が、まるで時が止まったようにロマンスとストーリーが存在するのかな、と思うと想像力が高まる気がして好き。

毎年5月に行われるGordon Parks Foundationのチャリティガラディナーは本当に素敵で、アリシア・キーズ、アッシャー、そしてファレルが駆けつける、華やかなイベントなのだ。CHANELのデザイナー、カール・ラガーフェルドも個人的に支援しているほど。

彼の1940~70年代のもの、特に公民権運動時のアメリカの写真は、本当にパワフル。当時の人たちの鋭い視線や情景が、すごくストレートに伝わってくる。

ドキュメンタリーを見ているかのような写真は、「歴史の証人」のようなTIME誌に掲載されているのも納得だよね。

お気に入りのMichael ThompsonとDavid Armstrongの作品

お気に入りのMichael ThompsonとDavid Armstrongの作品

Gordon Parks Foundationガラで落札した作品

Gordon Parks Foundationガラで落札した作品

 

たった一枚のプリントされた写真に、何百万円もの値段がついているのは夢のようで、この栄誉を手に入れられるのは、本当に一握りなのだ。

 

LA自宅のフォトグラフィー

LA自宅のフォトグラフィー

デジタルカメラの普及、そしてインスタグラムやフィルターの発展、そしてブロガーという職業ができたおかげで、誰もが簡単に写真をうまく撮れる時代となり、フォトグラファーとしてもお金を稼ぐことができる。

時代の流れ的にはOKだが、“フォトグラフィーのクオリティ”でいうと、少し違和感を覚えてしまうのは僕だけだろうか?

 

SNS、ウェブショップ用の写真は、スピーディーに撮らなければいけないため、フォトグラファーは速攻で提出しなければいけない。

写真が撮れて、インスタでフォロワーをたくさん持っていれば、仕事がどんどん入るし、ギャラもどんどん高くなる。

一方、写真を撮るのは本当にうまいが、フォロワーが少ない人はギャラが低くなってしまうのか?という疑問も出てくる。

ちょっと待った。

 

企業側がフォトグラファーを起用する際にも、写真のよさがわからない人からしたら全く異なる写真でも一緒に見えてしまうわけだから、露出をより得るために、フォロワーを多く持つ“フォトグラファー“を選んでしまうのも当然。

ここで、「何がイケていて何がイケていないのか」、それを精査したり、ふるいにかけたりする、ミドルパーソンのセンスが問われると思うんだ。

でも、これはあくまでも理想で、クライアントや消費者側はそれを求めていないのかもしれない。

作品が被写体頼りになりつつあって、フォトグラファーのテクニックやアーティスティック性は二の次。

これでは、どんどんクリエイティブのレベルが落ちてしまうのではないかと思うと、悲しいな。

 

 

日本の雑誌のコマーシャルフォトは、本当にフォトグラフィーに対する情熱が伝わる媒体だから、もっと興味を持って欲しいよね。

 

 

正直、HYPEBEASTのようなオーバーレタッチされた写真が、「おしゃれ」で、「ハイセンス」と思われがちだが、僕はもう飽き飽き。

HYPEBEASTオリジナルのやり方で、ある種のカルチャーを作ったから、彼らがやるのはもちろんいいが、それを真似する“フォトグラファー”はやり方を変えるべきだと思うんだよね。

これではフィルターかけて、フォトショップをして元の写真が普通なのであれば「誰でもできるじゃん」って思っちゃうし。

 

クオリティを見極められる人物、そしてよいものを伝えられる人物が重宝されそうな動きが出てきそう。

 

NY在住フォトグラファーの瀬尾宏幸くん@hiroyukiseo66)はおすすめ。

年代を感じさせないタイムレスでピュアな写真に、ロマンスを感じるね。

瀬尾くんのアーカイブより

瀬尾くんのアーカイブより

瀬尾くんが撮ってくれた写真

瀬尾くんが撮ってくれた写真

 

本年もどうぞよろしくお願いいたします!

 

ライター:稲木ジョージ

エディター:八木橋恵

コーディネーター:恩地祥博

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ファッションは投資か?

今年を締めくくる最後の記事では、ファッションに熱いメンズ諸君たちにスポットライトを当てることにする。

 

前回の記事、「東京のメンズファッションが面白くなってきた!!」は読んでくれたかな?

まだの人はこちらのリンクをクリック→ www.georgeinaki.com/blog/mensfashion

東京出張を重ねて、自分の目で見て、感じたことについて書いたわけだけど、共感してくれる人たちが多く、嬉しく思っている。

 

僕のところでインターンをしてくれている22歳の恩地くん(@onccchi)からインスパイアされて、この記事を書きたいと思ったのだ。

いきなり感が出てしまわないよう、恩地くんのことを少し紹介しようか。

 

東京の品川が実家で、東京の某大学に通っているが、英語とファッションを学ぶために休学をして、NYに来たそう。Fashion Institute of Technology(通称FIT)という学校に通い、Brand Managementを専攻している。FITは、カルバン・クラインなども卒業した、NYにあるファッションの超有名校。日本の雰囲気的には、休学や浪人はなかなかよいイメージがないが、目的ある恩地くんは、いまどき珍しいタイプ。

インターンをしてくれている恩地くんと。Shu Uemura x Murakami Takashiイベントにて。

インターンをしてくれている恩地くんと。Shu Uemura x Murakami Takashiイベントにて。

出会ったのは、彼がFarfetchでインターンをしていたのがきっかけだった。

いつ会っても小奇麗にして清潔感あるし、デザイナーズファッションブランドに身を包んでいるし、おぼっちゃまなのかなと思っていた。

 

でも、よくよく事情を聞いてみたら、彼は洋服のサイクルをまめにして、やりくりしているらしい。

10万円もするSacaiのコートやGUCCIのローファーは、バイトしたり食費を節約したりして捻出するけど、シーズンが終わり着なくなったらそれをYahooオークションやフリマアプリで売って、そのお金を足しに、また最新のコレクションを買っているそう。それほど、ファッションに情熱がある青年。

恩地くんのアウトフィット。コート、パンツは「Issey Miyake」、ローファーは「GUCCI」のもの。

恩地くんのアウトフィット。コート、パンツは「Issey Miyake」、ローファーは「GUCCI」のもの。

僕の世代つまり30歳前後は、食費を削ってまでもブランドものを着る人が多かったのは事実。ステータスを上げたいために、みんなカップラーメンやもやしばっか食べてたよw

社会現象とまでなった2000年の連続ドラマ「やまとなでしこ」には、そういうシーンがあったよね。

 

僕が学生のときは、必死にバイトしてブランドを買っていたな、と懐かしくも思った。なんでそんなにこだわるかというと、早く大人になりたいと背伸びをしていたかもしれない。それに、自分の歳よりもはるかに上の人たちと遊んでいたから、そんなきれいな洋服を着ている大人たちに憧れていた。

恩地くんから伝授してもらった“コツ”の「買って売って」というやりくりが目から鱗だったので、他にもそういう子たちがいるのではないか、あるいは若者世代のリアルを知りたいと思い、恩地くんの友達に参加してもらって、初めてスカイプ・インタビューを実施したのだ。

 

今回参加してくれたのは、フォトグラファーとして活動する、Margiela好きの島村(@kisshomaru)くんと、某セレクトショップで働く、Umit BenanとMarni好きの俊法(@___toshi_114_)くん。

俊法くんのアウトフィット。コートは「Umit Benan」、ニットは「Jil Sander」、ローファーは「JM WESTON」のもの。

俊法くんのアウトフィット。コートは「Umit Benan」、ニットは「Jil Sander」、ローファーは「JM WESTON」のもの。

2人に共通しているのは、どちらもファッションに目覚めたきっかけが古着だということ。僕も、メゾンファッションだけで全身を固めるのはいやなので、古着がファッションの“味”を与えてくれるのは、よくわかる。

 

そして、ファッションアイコンというのは特にいない、というのも特徴。男性らしい意見だ。俊法くんは、セリーヌのデザイナー、フィービー・ファイロ、島村くんは仕事柄会うスタイリストたち、あるいはストリートの人々からインスパイアされるけど、誰か特定で、この人がアイコンというのはいないという。というのも、情報をどこから得ているかということに関係しているのではないかな。

 

やっぱり従来の雑誌では“時差”があり、情報がたった数カ月で古くなっていることもあるし、聞いてみたら、やはり雑誌は全然読まないという。もっと正確に言うと、ファッションの情報は雑誌から得ていないという。インスタグラムをはじめ、ECの発展も著しいし、情報ソースのほとんどが、スマートフォンからやってきている。

 

島村くん曰く、「雑誌はカルチャーを作りだすもの」。もはや、“読む”ために、具体的なファッションの情報を得るためには雑誌を買わなくなっているようだ。

 

島村くんのアウトフィット。コートは「Sasquatchfabrix」 、インナーは「Yohji Yamamoto」 、パンツは「Martin Margiela」のもの。

島村くんのアウトフィット。コートは「Sasquatchfabrix」 、インナーは「Yohji Yamamoto」 、パンツは「Martin Margiela」のもの。

「雑誌はカルチャーを作りだすもの」という意見は鋭く、面白いなと思った。より紙媒体はニッチになっていて、より深く刺さるコンテンツになりつつあるのは事実。やはり紙媒体から学ぶことはあるし、信憑性があるからね。

島村くんは、恩地くんのように服を売ってそれを資金にして次の服を買うことはなく、俊法くんはいらなくなったものをレベルアップするときに服を売るそうだが、資金は限られているので、その中で欲しいもののバランスを見極めている。こうしてファッションに関する投資について、真剣に考えたり、情熱をもったりする、ファッション感度の高い男子たちの話を聞いて、斬新な意見もあったりして、すごく面白かった。

 

ファッションは僕も一種の投資だと思っているのだ。

まだまだ年頃なので、デザイン性の強いトレンディーなものももちろん買うが、よりよい質のもの、長く着られるデザインのものを買うようにしている。

クローゼットがパンパンなので、着なくなったものはThe Real Realで売ってるよ!

クローゼットにスペースができるし、お金ができるし、一石二鳥でまた買い物できるじゃん!w

 

TheRealRealは委託という形で洋服を売ることができるオンラインサービス。自宅に来てピックアップしてもらえるから、ラクで助かっている!

TheRealRealは委託という形で洋服を売ることができるオンラインサービス。自宅に来てピックアップしてもらえるから、ラクで助かっている!

そして、とても興味深かったのが、原宿に増殖するメゾンの酷似ルックについて話が及んだときの、「僕らの世代にはビックメゾンのオリジナルを知らないまま、よくわからないまま、流行っているから着ている人、ブランドのコアやストーリーを知らない人も多いと思う」という内容。

今、若者がメゾンに対して憧れを抱かない時代だとも言われるけれど、ファッションにおけるこの「憧れ」というのは、キーワードかもしれない。だって、なんでそれに価値があるのかがわからなければ、憧れることだってできないから。例えば、誰かが欲しいと思えるような価値がなければ、その服だって売れないわけだしね。

そもそも、近年は憧れよりも“親近感”を重要視する時代が長く続いたので、もはや“憧れる”ということが薄れてきていたのかもしれない。

 

それでは、メゾンブランドは欲しくならないの?と聞いたところ、彼らはこう言う。「今の時代、SNSが普及しすぎて、ブランドが多すぎて選択肢も多くなった。昔みたいに、バッグならばこのブランド、コートならばこのブランドというのはないし、現実離れした価格で売られていて、とてもじゃないけど買えないし、値段と質が伴っていると思えないから。今は、小さなブランドでも質が高く、それに見合った価格で買うことができる時代だから、わざわざメゾンブランドで買わなくてもよい環境にいるから」とのこと。

ごもっともだ! 高すぎると買えないのは当たり前のことだから、他のブランドを探してしまうよね。

 

あらためて、僕は、不変の価値を備えた、資産とも呼べるようなファッションにだけ、投資したいなと思いました。メゾンブランドは名前でお金を払っているようなもので、これがステータスだからね。

来年ももっとよい年になりますように!

彼らのようにしっかりと意見を持った人たちが、引っ張っていくわけだから応援しなきゃね!

 

 

 

ライター/インタビュアー:稲木ジョージ

エディター:八木橋恵

コーディネーター:恩地祥博

公式ウェブサイト:www.georgerootltd.com

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